「行きつけ」という概念が薄れつつあるという話【エピソード1】

コーヒーショップ

皆さんの「行きつけ」のコーヒー屋はどこですか?

コーヒー屋に限らずカフェや洋服屋さん、美容室など様々なお店において、利用者には「行きつけ」という概念が存在する。

お店側の視点で言うところの、「常連さん」にあたる。

では「行きつけ」という概念は、何がきっかけで、どのような瞬間に発生するのか。

そして最近は、この「行きつけ」という概念が薄れつつあるようにも思える。

ということで今回は、1杯のコーヒーのために往復4時間かけて毎週コーヒー屋に通った私が思う、「行きつけ」という概念についてお話しできればと思う。


初めてコーヒーに衝撃を受けた時期

私には「行きつけ」のコーヒー屋がある。

コーヒーを好きになるきっかけをくれたお店だ。

ブラックとは思えないほど甘く、じんわりと冷えた体に染み渡るコーヒーだった。

人見知りで初対面の人とあまり喋りたくない性格の私だったが、気づいたら「とっても甘くて美味しかったです。また来ます。」とバリスタさんに喋っていた。

こんな衝撃は初めてだったので、当然また期間をあけて訪れた。

このときは「またあのコーヒーを飲みたい」という思いで通っていた。


いろんなコーヒー屋を巡った時期

「この世には甘いコーヒーが存在する」という事実を知ってしまった以上、探求する以外の選択肢はない。

この時の私は、とあるコーヒー屋に勤め始めたばかりだったので尚更だ。

色んなコーヒー屋に行くたびに、そこのバリスタさんにおすすめのコーヒー屋はどこか、と聞く。

自力で調べるよりもはるかに優良な情報を得られる。

基本的には都内を巡った。

1日に7店舗行った日もあり、正直具合は悪かった。

けどそれぐらい私はコーヒーそのものに惹かれていた。


無理して「行きつけ」をつくろうとしていた時期

こうして都内だけでも数十店舗巡り、「行きつけ」が複数店舗あってもおかしくないほどだった。

「ここのコーヒー屋、SNSでも人気があってなんかイケてる。」
「ここはコーヒー通がよく通っているお店のようだ。」
「ここは
希少な豆取り揃えているお店だ。」

今思えば、この時期はこんなことを考えてお店を選ぶようになっていた気がする。

もちろんこの思考がダメというわけではない。一つの正解だろう。

ただ、この思考で選んだお店をリピートしたことは、結果的に1店舗もなかった。


原点回帰で落ち着いた時期

結局私は、一番最初に甘いコーヒーを飲んだコーヒー屋に通っていた。

もちろんいつ飲んでも美味しい。

けどなんだろう、この「コーヒーが良い意味で脇役になっている感じ」は。

しかも人見知りだったはずの自分が、バリスタさんだけでなく、常連さんとも会話している。

「おはようございます~。今日は何にしたんですか?」から始まり、常連さんがいつも連れているワンちゃんを、私の膝の上に乗せながらおしゃべりをする。

たまにその会話にバリスタさんも加わって、3,4人の輪ができる。


コーヒー屋に求めるものが定まった時期

こうして私は毎週のように、往復4時間かけて通うように。

コーヒー4杯分の交通費をかけて、1杯のコーヒーを飲みに行く。

いや、あの空間に集まる人に会いに行く。

そう、私はコーヒーよりも人に会えることが楽しみだった。

「良い意味でコーヒーが脇役になっている感覚」の正体はこれだった。

私がコーヒー屋に求めるものは「人」や「コミュニケーション」だったのだ。

人見知りなくせに。


ということで今回は、私に「行きつけ」ができた実体験をつらつらと綴ってみました。

次回は、「行きつけ」という観点から、「価格が高ければそれは良いものなのか」という話をします。

私自身、考えがまとまりきっていない部分もあるかと思いますが、少しでも皆さんに伝わるように言語化していけたらと思います。

それではまた次回。

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